初めてこの冊子を手に取ったとき、「訪問歯科ってどんな世界なんだろう」とワクワクしました。外来診療しか経験がなかった自分にとって、訪問は未知の分野でしたが、「これから学べる内容が詰まっている」と感じ、自然とページをめくりたくなりました。
印象に残ったのは、多職種との関わり方が具体的に書かれていた点です。理学療法士や作業療法士、ケアマネジャーなど、外来ではあまり接することのない職種がどのように関わっているのかがわかり、チームで患者さんを支えるイメージが湧きました。訪問先では一人で完結する診療ではなく、連携を意識して動くことが大切だと実感しました。
また、訪問診療の「流れ」が冒頭で整理されていたのも印象的でした。診療前後で必要な準備や、ケアマネジャー・家族への連絡手順までが簡潔にまとめられていて、「こういう段取りで進めればいいのか」と全体像がつかめました。初めての訪問で感じる不安がかなり和らいだように思います。
さらに心に残ったのは、治療だけでなく口腔ケアの重要性に触れていたことです。治療中心になりがちな中で、口腔ケアを並行して行うことで、患者さんが清潔な口腔環境のもとで安心して食事を楽しめる――その視点にハッとさせられました。今後は自院でもより積極的に取り組んでいきたいと感じました。
これから訪問歯科を始める先生には、ぜひこの冊子を読んでみてほしいです。外来との違いや全体の流れが具体的に理解でき、巻末のチェックリストも実践に役立ちます。訪問診療を「難しそう」と感じている先生こそ、最初の一歩を踏み出す勇気をもらえる一冊だと思います